発表が得意な子・苦手な子

発表が苦手な子っていますよね。
もしかしたらこれを見ている大人の方々でも、「発表苦手だったな」とか「今でも人前で話すの苦手だな」という方もいるのではないでしょうか。

「発表頑張ろう!」と発表できるように促す先生も多いのではないでしょうか。
もしかしたら、発表の回数を数えたり、発表=意欲として評価をしたりしていたりして…

親御さんの中にも「今日発表した?」と聞いたり、「参観会だから発表しなよ」と促したり。
もしかすると、参観会の時に発表しなかったら「やる気がない」と叱ったり…。

発表が苦手な子供の心理

できることなら発表をしたくない。
先生は「間違えてもいいから発表してみよう」と言うけれど、当然だができることなら間違えたくはない。

勇気を振り絞って手を挙げてみる。
その手は高々とは挙がらない。
肘は曲がり、「自信がありません」という気持ちを綺麗に表している。
手は挙げているものの「当てないでください」と願っている自分もいる。

当たらないと「なあんだ」とガッカリするとともに、ホッとしている自分もいる。

いざ指名されると、頭が真っ白になって
何をどうやって話したか分からぬまま、気づいたら着席している。

この繰り返し。
何度やっても慣れることはない。

2種類の思考パターン

このような時の子供たちの思考は大きく2つに分けられる。

Aの思考パターンは
『自分の回答がほぼ100%あっていると確信が持てないと発表という行動に移せない』

例えば4択問題で
①は確実に違う。④は多分違う。②と③のどちらかだと思う。②が70%、③が25%、④が5%くらいの可能性…。

この子はこの状態では行動に移せない。
この②に確信が持てるように、いろいろと調べ始める。
そして②である可能性を高めていくとともに、③や④の間違いの可能性も同時に高めていく。
そして②がほぼ100%正しいと確信を持ててやっと動き出す。

Bの思考パターンは
『行動することで核心に近付いていく』

さきほどの4択問題で同じ可能性を感じていても
Bの思考パターンでは、②だと発表する。
それがもし違っていても、「間違えた」という事実から、「選択肢が一つ減る」という結果を得ることができる。


これ、どちらがいいか分かりますか?


「どちらもいいのです」



Aの思考パターンの子供は、自分で核心に迫ることができ、その過程から多くの知識を吸収することができます。
時間がかかるかもしれませんが、Bの思考の子供より間違いなく知識が増加します。
そして自分で考えて乗り越えていくチカラが高い(高まる)と考えます。

Bの思考パターンの子供は、とにかく行動して正解に近付いていくことができます。
簡単に言うと「行動力がある」とでも言うのでしょうか。
これは一つの才能です。
「考える」ことではなく「行動すること」で道を切り開いていくのです。
このような子どもは「スピード」に長けている反面、「正確性」は低い傾向にあります。

個別最適な学び 「特性」を生かす教育

先程も言ったように、どちらかの思考がいいというものではありません。
どちらもいいのです。

というか、それがその子の「特性」なのです。

学習指導要領でも「個別最適な学び」「特性」という言葉が多く出てきます。

Aの思考パターンの子がじっくり考えているのに、「そんなに考えていても仕方がないから、とにかくやってみなよ!」とアドバイスするのは、ただのストレスでしかありません。
Aの子は、じっくりと考えることで特性が活かされます。
そうすることでよりよい結果につながります。

Bの思考パターンの子に、「あなたはじっくり考えずに行動ばかりするから、まずはじっくり考えなさい!」と強要してもストレスでしかありませんし、その子の良さを奪ってしまっています。
Bの子は、行動することで、特性が活かされるのです。
それがよりよい結果につながります。


ですから、発表を皆に強要することは得策ではありません。
もちろん、これからの世の中を生きていく子どもたちに表現する力を養っていくことは必要です。

ただ、表現するまでの過程は子供によって様々です。

一人一人違う

親御さんは、兄弟姉妹それぞれ違うと思ってください。
「私の息子たちだから仕方ない」と思うのはいけません。
あなたとあなたの息子さんが同じ特性とは限りません。
兄と弟が、兄弟だから同じであるとも限りません。

よく私のところへ「子供のことが全く理解できない!」と相談に来るママがいますが、それは正解なのです。
違う特性を持っていれば、「何でそういう行動になるのだろう?」と不思議に思うことの連続です。
血が繋がっているから同じ人格だと勘違いされている方も多いのですが、それは違います。

先生はもっと大変です。
30人いたら30人それぞれ特性が違います。
一人一人が理想ですが、似たような特性を持った子でアプローチするのが現実的かもしれません。
一番危険なのが、全体で同じ指導をしてしまったり、先生自身の価値観で指導してしまったりすることです。


「発表すること」が「素晴らしい」こと
「間違いを恐れずに発言すること」が「素晴らしい」こと
「じっくり考えてから行動すること」が「素晴らしい」こと

これはあなたの価値観でしかありません。
これらを子どもたちに押し付けるのは傲慢です。
そうではなくて、それぞれの子に合ったアプローチをして、その子のよさを最大限伸ばしてあげることが重要なのです。

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