他人と比べることはダメ??

テストの順位を出さない。
運動会の順位を出さない。

最近は横並び教育が増えてきた。

それは当然ながら順位をつけることのデメリットがあるからだ。
私も教育現場で10年以上勤めてきたからそれについてはよく理解できる。

ただ、順位をつけることのメリットがあることも忘れてはいけない。
順位に限らず、「競争」というのは、子供たちの能力を引き出すのにはうってつけだ。
体育指導を行うときに、一番盛り上がるのは「競争」である。
競争となれば、手を抜かず、自然と全力で活動ができる。
そして、勝って大喜びする子もいれば、負けて泣いている子もいる。泣いて怒っている子もいる。
仲間のせいにして暴言を吐く子もいる。すねてもうやらないと体育館から出て行こうとする子もいる。
先生たちは大変だ。
でもそれも、教育にはとても大切なことだ。
勝敗を受け入れる心、自分の気持ちを抑制する力、運動(スポーツ)には心を鍛える要素がつまっている。

それはさておき…

こんなニュースを耳にした。

ある先生が、漢字テストに力を入れていた。
とにかく子供たちに漢字を覚えさえたい。
強い思いを抱いていた。
でも、半分くらいの児童は、全く必死になってくれず、毎回50点満点中10点程度。
その先生は分かっている。この子たちは漢字が苦手なのではなく、そもそも覚えようとしていない。
きっとこの先生は「漢字テスト」という材料を使って、「努力」とか「がんばればできる」とか「必死になる」とかそういう気持ちを身につけてほしいし、その達成感を味わってほしいとも感じていたのだろう。

子供のことを本当によく考えている愛のある先生だ。
別に漢字ができなくても先生は困らないし、必死にならない子がそのままでも先生は困らない。
困るのはその子だし、もしかしたらその親かもしれない。

でも先生はなんとかその子たちを変えてあげたいと思い、考えた結果、テストの結果を貼り出すことにした。
子供たちを奮起させたいと思ったのだろう。

みなさんその後どうなったと思いますか?

ある保護者が、テストの貼り出しについてクレームを言い、その先生の行動は不適切教育として異動となってしまったそうだ。

これが今の教育現場である。

この指導が適切か不適切だったかはさておき、テストの点数を貼り出し、低い子は「頑張ろう!」とし、高い子は「よっしゃ!」と思いさらに頑張るだろうと想像することは間違っていないと思う。
もちろん、そのテストの点数を見て、大きく落ち込んでしまう子もいるし、過信してしまう子もいるのは事実である。

「全ての児童にとって」適切な指導はなかなか存在しない。
私も30人の児童を目の前にして、1人にでも引っかかり、その1人の人生を少し良くすることがでいればいいといつも思っている。

話を戻すが、「競争」することが、子供たちの成長に効果があるのであれば「適切に」「競争」をさせていくことが必要だと思う。

「転ばぬ先の杖」は教育では「悪魔の杖」になることが多い。
「転ばぬ先の杖」を使っていることで、確かに転ばないが、いざ、その杖がなくなったときにどうなるか。

競争を経験してこなかった子や、いつも配慮され続けてきた子が、いざ社会に出て競争せざるを得ない状況になったら…

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