やってみせ 言って聞かせて させてみて・・・

教師として10年以上過ごしてきましたが、教師は、大学卒業して1年目から担任を持つことが多いです。
すると、いきなり約30人を指導する立場となります。
民間で言うと、大卒でいきなり30人の部下を抱える上司になるようなものです。
30人それぞれの良さを活かし、課題に対しては指導し、成長させていかなければなりません。
教師に限らず、管理職の皆さん、民間企業で部下を持っている皆さんは、常に“人を育てる”ということに少なからず難しさを感じていることでしょう。
親はもちろん、我が子を育てていくことに悩みが尽きないことでしょう。
“人を育てる”ことは世の中で一番難しい仕事であると私は思っています。
だからこそ、先人の知恵から学ぶことが大切であるとも思います。
今日は、その中でも、今日は「山本五十六」の名言について紹介します。
山本五十六とは
山本五十六は、日本の海軍の軍人で、第26・27代連合艦隊司令長官です。
昭和16年(1941)ハワイ真珠湾攻撃を敢行し未曾有の大戦の指揮をとった人物でもあります。
昭和18年(1943)ブーゲンビル島上空で米軍機に撃墜されて戦死、
皇族・華族以外の者が国葬の栄誉を受けたのは山本五十六が最初です。
山本五十六の名言
山本五十六が残した名言がこちら。
やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやれねば 人は動かじ
人を動かしていくためには何が必要かを学ぶことができます。
①やってみせる
最初ですが、意外と一番大事で、できていない人が多いものかもしれません。
まずは「やってみせる」ことが大切です。
逆に言えば、「これやりなさい!」と、指示だけ出していても人は動かないということです。
だから、まずは自分が見本を見せることが大切なのです。
しかも、いいモデルを見せられる人はいいリーダー(指導者)と言えるでしょう。
親御さんもそうです。
「これやりなさい!」と指示ばかり出しているのではなく、まずお手本を見せることです。
ただ、手本ってなかなか難しいですよね。だから「一緒にやってあげる」で良いと思います。
これもだいじな「やってみせる」ことにつながります。
②言って聞かせて させてみせ
やってみせた上で、やっと、言って聞かせることができます。
そして「させてみせ」です。
「させてみせ」と言うのは「チャレンジさせる」というイメージが近いでしょうか。
親や教師、上司が、やってしまえば早いですが、
やるチャンスを与え、チャレンジさせます。
ぜひチャレンジしている間はあたたかく見守ってあげることが重要です。
③褒める
どんな結果であろうと、「褒める」ことが極めて重要です。
どんな結果であろうと「褒める」点を見つけ、
それを「褒める」力が、教師や上司、親には必要であり、
それが、教師や上司、親が身につけなければいけない能力だと思います。
これ(「褒める」)ができれば、
子供たちや部下は、次もやろう!頑張ろう!チャレンジしよう!と思うに違いありません。
つまり、観察力に長け、ポジティブなフィードバックをできることが
リーダー(親・指導者)には必要な力なのです。
「やってみせ…」には続きがあった!
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」
これを知っている人は多いと思いますが、これには続きがあることを知っていましたか?
この続きが実はとても重要なのです。
なぜなら、私たち教師、上司、親は、「人を動かす」ことが目標ではないからです。
その先を望んでいるからです。
やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやれねば 人は動かじ
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
「その先」とは、「人が育ち」、「人が実る」ことです。
④話し合い、耳を傾け、承認する
一方通行ではいけません。子供たちや部下と意見を交わすことが大切です。
子供たちや部下の意見に耳を傾けられる親、教師、上司は間違いなく信頼される人になりますし、子供や部下は生き生きとしてきます。
そして、子供たちや部下の考えを認めてあげることが大切です。
当然、教師や上司から見れば、物足りない考えかもしれません。
でも、それを「物足りない!」と一掃してしまえば、子供たちや部下は育ちません。
考えを認めた上で、的確なアドバイスを付け加えたり、その考えを実行に移す機会や環境を与えたりすることが、教師や上司のできることではないでしょうか。
⑤任せる
私は、この「任せる」ことをすごく大切にしています。
人は任せてもらいたいのです。
任せてもらえた時は、誰しもその期待に応えようとします。
その時のエネルギーは大きなものですし、だからこそ、それを経験して得られるものは多いです。
失敗してしまってもいいのです。
その時のフィードバックが、教師や上司として勝負どころです。
先ほどの「褒める」ことが重要です。
結果だけにフォーカスすることなく、過程をよく観察し、「任せてよかった」と伝えられるといいですね!
⑥やっている姿を感謝で見守る
ポイントは二つあります。
一つは「感謝」ということ。もう一つは「見守る」ということ。
私は、教師として子供たちに「ありがとう」と言う言葉を乱発していました。
「ごめん、これやってもらってもいい?」と仕事を任せ、「いや〜助かったわ〜ありがとうね〜」と感謝をきちんと伝える。
簡単な例を挙げましたが、基本的にこの連続だと思います。
もっと上手い人だと、「あなたに任せたい!」と心を掴んだり、具体的なフィードバックをしながら感謝を伝えたりしていくのだと思います。
「見守る」と言うことは意外と難しいことです。
任せてはみたものの、「あぁもう!何でそうなるのよ!」とか「もっとこうしたらいいのに!」なんてイライラしてしまい途中で口を挟んでしまうことはないでしょうか。
その気持ちは当然です。なぜならあなたの方が実力があるからです。
子供がやるより大人がやる方が良いものができるに決まっています。
引き出しの数も仕事のスピードもあなたがやった方がいいに決まっています。
しかし、それでは人は育ちません。
「人を育てる」ためには、そこは我慢をして、任せて、見守って、感謝を伝えてあげることが大切なのです。
⑦信頼する
あなたは、子供たちを信頼できていますか。
あなたは、部下を信頼できていますか。
「信頼」は字の通り、信じて、頼りにすることです。
あなたは、子供を信じていますか。
あなたは、部下を信じていますか。
「信用」と「信頼」は違います。
「信用」は、過去に対して実績や成果を評価すること
「信頼」は、未来の行動や感情について、期待すること
子供たちや部下の行動に期待して任せることができることが信頼です。
きっと、あなたが信じ、信頼していないと
それは、子供たちや部下に伝わっています。
ということは、あなたは子供たちや部下から信頼されていないということです。
まずは、あなたが子供たちや部下を信じることから始めましょう。
人を育てるって難しい!だから勉強あるのみ!
人を育てるってとても難しいことです。
だからこそ、勉強が必要です。
教師は、学び続ける仕事だとも言えます。
上司になった人は、改めて学ぶことが大切です。
感覚で何となく人を指導することほど危険なことはありません。
学ぶためには、先人の知恵やよきリーダーから技を学ぶことが非常に有効です。
ただ、その方法が自分に合うかどうかは分かりません。
だからこそ、多くの人の方法を知り、引き出しを増やしていくことがいいでしょう。