断固としてご褒美を買わない!

SOBU ACADEMY代表の曽布川です。

パパ〜今日サッカー頑張ったから、アイス買って〜
パパ〜塾で賞もらったからポケモンカード買って〜

私は絶対に買いません。
いや、「絶対に」は言い過ぎですかね。
基本的には、断ります。

でも、これは私がケチだからとか、厳しく育てているからではありません。
明確な理由があります。
それを心理学の分野と私の経験とでお話ししていきます。

ご褒美が結果的に子育てを難しくしてしまっているケースが多々見られます。
お金の面ではありませんからね。

動機付け とは

“ニンジン作戦”とは、昔からよく聞く言葉です。

良い成績を収めた場合に報酬を与えると事前に宣言することによってモチベーションを高めようとするやり方のことです

大人の世界でもありますよね。

このタスクを終えれば、ボーナスがもらえる!とか
ここまで残業頑張ったら美味しいデザート買って帰ろう!とか
今週末にディズニーランドに行くから今週仕事頑張れる!とか

つまり、

それをやるモチベーションは何なのか

ということなんです。

子供も同じです。
テストのために勉強を頑張るモチベーションは何なのか。それはお小遣いのため?
行きたくもないピアノのレッスンに行くモチベーションは何なのか。
行けば好きなもの買ってもらえるから?

これが動機です。

目的や目標などのある要因によって行動をおこし、それを持続させる心理的過程を動機づけと言います。

外発的動機づけ と 内発的動機づけ

動機づけには2つの種類があります。

❶ 外発的動機づけ

 外発的動機づけとは、報酬や評価、罰則や懲罰といった、外部からの働きかけによる動機づけを意味する言葉です。

 よって、ニンジン作戦はこの外発的動機づけに当たります。
 「ママに叱られたくないからやる」これも、実は外発的動機づけです。

「報酬が欲しい」「罰を受けたくない」などは、ほとんどの人のモチベーションにつながるため、短期間で効果が表れます。

❷ 内発的動機づけ

 内発的動機づけとは、物事に対する強い興味や探求心など、人の内面的な要因によって生まれる動機づけを意味する言葉です。

 好きでやっている趣味は内発的動機づけです。
 やりがいや達成感などもそうです。

外発的動機づけと内発的動機づけのメリット・デメリット

 答えから行くと、どちらにもメリットがあります
 そして、どちらにもデメリットがあります

 ということは、状況に応じて使い分けていく必要があります。
 それではそれぞれのメリット・デメリットを見ていきます。

外発的動機づけ

【メリット】
○短期間で効果が現れる
○ほとんどの子に効果が出る

【デメリット】
▲効果が長続きしない
▲必要以上の結果を得られにくい
▲コストがかかる
▲自主性や創造性を妨げる可能性がある
▲そのものの価値や貢献度を高めにくい

内発的動機づけ

【メリット】
○高い集中力を発揮しやすい
○進んで行動し、学ぼうとする
○期待していた以上の結果を得られることがある
○創造力が高まる
○コストがかからない
○効果が持続しやすい

【デメリット】
▲時間がかかる
▲子供によって動機づけの要素が千差万別

こう見ると、内発的動機づけの方が良い方法に見えますが、
外発的動機づけにもメリットがあるため、効果的に使っていくことが良いでしょう。

エンハンシング効果とアンダーマイニング効果

だんだん動機づけについて理解できてきたところで
これらを使っていく注意点をみなさんにお伝えしたいと思います。

エンハンシング効果

外発的動機づけがきっかけで、内発的動機づけが高まる現象をエンハンシング効果と言います。
「そんなことあるの?」「よく分からない」という人のために具体的な例を見てみましょう。

M美さん(小学校3年生)ママの場合

 ピアノのレッスンにどうしても行きたがらないM美。そぶ先生の言う通り「1ヶ月頑張ったら、あなたの好きなキャラクターの文房具を買ってあげるわ」と外発的動機づけでピアノのレッスンに何とか行かせました。ピアノの先生には、M美のこととにかく褒めてくださいとお願いし、私も帰ってきたらとにかく褒めました。1か月、2か月…と大好きな文房具をゲットしていくM美。これで大丈夫なのかなと思ったのですが、だんだんと変化が出てきました。初めて3か月目のある日、M美はレッスン終わりに「ママ、弾けるようになったよ!聞いて!」と言います。ついには、6か月目「ママ、ピアノ楽しい!」と言うようになりました。そぶ先生ありがとうございます!ちなみに、ご褒美の文房具は7か月目からあげていません。というか、M美が何も言わなくなりました。これは内緒です。

S太郎くん(小学校4年生)ママの場合

 漢字がとっても苦手なS太郎。何とかしたいと思っていましたが、私は仕事が忙しく、一緒に付いて教えてあげる時間は取れません。2年生の時にそぶ先生に相談して、今やっている学校の宿題に注目することにしました。学校では漢字やひらがなを84字書く宿題が時々出るのですが、我が家ではこれを土日を含めて毎日やることにしました。当然、最初はS太郎は嫌々でしたが、S太郎と相談して我が家では1週間毎日やったら100円というお小遣い制を採用しました。外発的動機づけのデメリットで、成長するにつれてだんだん100円ではやらなくなってその都度そぶ先生と相談をしながら続けていきました。
 結果的に今4年生ですが、毎日やることが当たり前になっています。4年生になってからは学校の漢字テストは毎回満点。先生にも友達にも認められることが多いようで自分の取り柄と認識しているようです。学習習慣も身に付き、自分から学習に取り組んでくれるのでそれも働く私にとってはありがたいです。

どちらも、「褒められたい」「ご褒美がほしい」といった理由で、習い事に行ったり勉強をしていた子が徐々に、その行動自体に楽しさややりがいを感じるようになっていった例です。
時間がかかりますが、外発的動機づけから内発的動機づけにつなげていくことも一つの方法です。

この2人のママが上手くいったのにはある秘密があります。
それは、上手に「褒めた」ことです。

アンダーマイニング効果

エンハンシング効果とは全く対照的なのが、アンダーマイニング効果です。
アンダーマイニング効果とは、内発的動機付けされている事柄が、外発的動機付けに書き換えられてしまうことです。

 サッカーが大好きな子に「今日の試合で点を決めたらご褒美をあげる」と予告し、点を決めた子に実際にご褒美を与えます。すると、その子は、その後、ご褒美がもらえない場では、以前は抱いていた「サッカーが好き」という内発的動機が低下してしまいます。

 つまり、安易に、褒める=ご褒美をあげる とすることは危険だということです。

ご褒美の怖さ

私はこのご褒美による怖さをいくつも見てきました。

はじめから、ご褒美ありきで毎日通っている習い事。
毎日、習い事行く前には、通り道にあるゲームセンターで100円だけゲームをやってから。

子供の本心はどうかというと、きっと習い事はやらされている。
でもゲームができるから仕方なく行っている状態でしょう。

しかもゲームはおやつと違って「楽しさ」を味わえるものですから、それに依存する傾向にあります。
ゲームより楽しいものが見つからない限り、そこから離れられません。
どっぷりつかってから、親がどんなに叱っても、困っても遅いのです。
そして幼児期ほどそれが顕著です。

小さなうちに、楽だから、子供の機嫌を取れるから、(もしかしたら子供と楽しさを共有できるから、実は大人がやりたいから)なんていう安易な理由で、始めたご褒美ですが、後戻りできない事態になることもあります。

いつしか、子供の機嫌を伺い続けている、立場が子供の方が上になっているなんてこともあります。

ちなみに冒頭で述べた、私が習い事の後にご褒美を買わない理由は、アンダーマイニング効果を危惧しています。
我が子は習い事の先生方のおかげで、ありがたいことに、どの習い事も楽しいと言って行ってくれています。
そんな子に、わざわざご褒美をあげてしまうと、せっかく、習い事そのものに「楽しさ」「やりがい」を感じているのに、それを薄れさせてしまう危険性があると分かっているからです。

親の断固とした気持ち

「でも、子供が駄々をこねるんですよ。」

とよく言われますが、そんなの簡単です。根負けしないことです。

大泣きしたり、怒り出したりすると、この場をやり過ごそうと、ついつい「分かった、今日だけだよ。」と言いたくなってしまいますね。

しかし、そんなパパママの一貫性のない行動を子供はお見通しです。

また同じシチュエーションになれば「今日だけね」と言ってもらえるまで粘ります。

現代は「我慢」=「悪」みたいな風潮がありますが、当然ですが「我慢する心」を養うことは極めて重要です。
「今日だけね」で、我慢する心を育むチャンスを台無しにしてしまわないようにしましょう。

「我慢すること」を育まないまま成長すると、嫌なことから逃げる子になってしまいます。
人生、嫌なことばかりですよね・・・
勉強だって嫌だし、好きな授業ばかりでない、先生だって、友達だって好きな人ばかりじゃない。
その都度、何か言い訳して「行きたくない」「やりたくない」なんて言い出してはたまったものではありません。

重要なのは、ブレない心です。

「今日は買わないからね!」と約束したのに、根負けして買ってもらえたら、「どうしてだろう」と子供の混乱を招きます。

子育ては難しい。だからこそ学ぶ。

こうやって、私のブログを見てくれている皆さんだからこそ、子育てに一生懸命なのだと思います。

でも残念ながら、これを読んで、それをやってうまくいくかというとそういうものでもありません。
100人いれば100通りの育て方があって、誰かが上手く行ったから、私も上手くいくとは限りません。

でも、やみくもにやる、なんとなくやるよりも、多くの情報を入れて、多くの選択肢を持った上で子育てすることの方がいい方向にいく可能性が高いです。

だからこそ、学ぶことが大切で、だからこそ楽しいのです。


 

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