ジュビロ磐田ホームゲーム一斉観戦事業

SOBU ACADEMY代表の曽布川です。
5月17日(土)は、磐田市の多くの小学校では、学校公開日等が行われ、登校日となりました。
これも、磐田市が2011年から行っているジュビロ磐田ホームゲーム一斉観戦事業によるものです。

磐田市の全22校の小学校の全5、6年生が、みんなでジュビロ磐田の試合を観戦しにいきます。
これは、希望者にチケットを配りますというような、多くのJリーグクラブで行っているものとは全く違い、「授業」の一環として行われるので、「課外授業」「社会科見学」のようなものがイメージに近いでしょう。

SOBU ACADEMYにきてくれている磐田市の5、6年生ももれなくジュビロの試合に観戦しに行きました。

私も、かつて“指導主事”として、本事業の運営トップして何ヶ月間も(いや1年かけて)、準備し、この当日を迎えました。
教員としての引率も何度もしました。

この事業の主催は「磐田市」です。つまり、磐田市が税金を投入し子どもたちのために行なっている事業です。

伝えたいことは山ほどありますが、今回は、2つに絞って大切なことを書かせていただきます。

具体的なことを聞きたい方は、答えられる範囲でお答えしますので個人的にご連絡をお願いします。
(実は、すごく多くの市町やJリーグクラブからお問合せがある事業ですし、今回も対戦相手のいわきFCさんもこの事業の視察に来ていたそうですね。)

ふるさとを愛する子どもを育てたい

この事業の大きな目的は、「磐田市をふるさととして誇りに思う気持ちを共有する」「将来にわたって磐田市を愛する気持ちを持続せること」です。

みなさん、自分の生まれ故郷を自慢することができますか?
自分の生まれ故郷が好きですか?

今は日本中で人口減少が著しく、市町、都道府県としても、人口をどう維持していくかは喫緊の課題となっています。
子育て政策や、Uターン施策、移住施策など、工夫を凝らしています。

地方都市としては、今いる子どもたちの多くがこの街が好きで、この街に残りたい、学生時代に都心に出た後、この街に戻ってきたいと思える都市にしていくことが私は大切だと思います。

よくこの事業に対して「サッカーが好きでもない子が強制的に連れて行かれて…」なんて意見を言う人がいます。
それは論点がずれています。
もちろん、これを機にサッカーが好きになってくれれば幸いですが、それは副産物です。
まずは、私たちのふるさとに、このような素晴らしいサッカーチームがあって、素晴らしい選手がいて、このような素晴らしいスタジアムがある。
そして、こんな多くの同級生がいて、その同級生と一緒に同じ光景、感情を共有する。
そして、後でも述べますが、すごく多くの磐田市の企業さんや人たちに支えられて自分たちがいる。

そういうことを学ぶことができる場なのです。

だから正直言って別にサッカーじゃなくてもいいのです。
でも、日本に、Jリーグクラブを有する市町は限られ、それに加え、近隣市町を含めて卓球、ラグビー、フットサル、バスケットボール、バレーボール、トランポリンなど、地方都市としては異常なくらいトップスポーツに身近に触れられる地域です。
このスポーツをコンテンツとして故郷を誇りに思う気持ちや愛する気持ちを育てていく事業なのです。

「まじサッカー興味ないわ〜」
と言っていた子が、目をキラキラさせて試合を見ている光景を私は何度も見てきました。
全員に響くかは分かりませんが、一人でも人生にプラスの影響を与えることができたのなら成功ではないでしょうか?

多くの人の協力と理解の上で成り立つ大イベント

運営トップとして、この事業の裏の裏まで全て見てきた私が、声を大にしていいたいことは、この事業は本当に多くの方々の協力のもと成り立っているということです。

根本は、「子どもたちのため」「子どもたちの安全のため」「子どもたちに最高の経験を」という思いです。

もちろんジュビロ磐田様には多大なる協力をいただいていることは言うまでもありません。
ただ単に、どうぞ見に来てくださいだけでは成り立ちません。
これだけの歴史ある大きなクラブですから、スタジアムの観客もいっぱいで、サポーターでさえチケットを取れない試合もあり、空き空きのスタジアムとは話が違います。そのスタジアムに1試合だけ3000人の座席を、しかもまとまって確保していただくのは当たり前のことではありません。
また、3000人の子どもたち動くわけですから、安全にスタジアム内を移動していけるように、どの時間にどの駐車場からどのゲートを通ってどの座席へ向かうか、入念なシュミレーションのもと打ち合わせを行なっています。
試合終了後ももちろんです。
その他、細かな配慮もたくさんしていただいています。

子どもたちがみんなお揃いで持っているタオルマフラーと帽子も提供していただいています。
タオルマフラーは磐田市に工場があるポッカサッポロ&フード株式会社さま、帽子はジュビロ磐田のスポンサーであるSALAさまから提供いただいています。
中学生や高校生、畑仕事をしているおじいちゃんおばあちゃんが、この帽子やタオルマフラーを持っている姿を街で見ると、なんだかすごく嬉しくなる私です。

学校・スタジアム間のバスは遠州鉄道様、その駐車場も近隣企業様にご協力いただいています。

引率はできる限り先生方に負担をかけないよう、磐田市役所の職員(消防の方も含めて)が全ての学校について学校から案内しています。

また、ボランティアで保護者の皆様にも引率の補助をしていただいています。

サポーターの皆さんにも本当に温かく受け入れてもらっています。
試合前にはボランティアで応援の練習にも行っていただいています。
子どもたちは大喜びです。
当日も、子どもたちが最優先とばかりに、子どもたちの席の前まで行って応援を主導していただいたり、声かけしていただいたりもしています。

そして選手の皆さん。今回も、上原選手が「点を入れたら子どもたちの方へ」と選手の皆さんに事前に声を掛けてくださっていたそうです。
この日には試合に出ていなくても、ジュビロの全選手がスタジアムに来て、試合後にはピッチ上で子どもたちの前に立ってくれます。試合後疲れている中で、子どもたちのために時間を使ってくれています。
秋には、選手が小学校に訪問してくれます。

選手の学校訪問は、多くのJリーグチームで行われていますが、磐田市では全22小学校に毎年来ます。いい意味で子どもたちにとっては選手が来るのが当たり前。今年は誰が来るのかな〜という次元です。
親の方が今年は誰!!??なんて聞いています。
私も運営としてかかわっていたころも、中村俊輔!大久保嘉人!前田遼一!松井大輔!駒野、川島…日本代表で活躍した選手がズラリ。
羨ましい限りですね。

他にも多くの方々にご協力いただいている事業です。
こういうことを理解してこの授業にのぞんでいる子どもたちであってほしいと切に願います。
そうすることで、さらに郷土愛は醸成するでしょう。

多くの人に支えられ生きている。
それは人の心を養っていく上で非常に大切な根っこだと思います。

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