宿題をやることよりも大切なこと
「宿題やりなさい!」
と、何度言ったことでしょう。
いや、何度言われてきたでしょう…。
そもそもなぜ宿題をやらなければいけないのでしょう。
子供たちに「なんで宿題やらないといけないの?」と言われたらあなたは何と答えますか。
その答えは、また考えてみてください。
一つだけ私が言えることは家庭で学習すること、家庭で学習できるチカラは重要です。
「宿題をやる」ということはあくまでも“手段”です。
つまり、「宿題をやる」という“手段”を用いて、その先にある“目的”“目標”を達成してほしいのです。
では、その“目的・目標”とは何なのか。
一つだけあげてみると、それは『学習習慣を身につける』ことにある。
人生は学びです。
大人になっても仕事をしても、学びは続いていきます。
その基礎を作っていくことが大事です。
よく、中学生のお子様を持つ親御さんに、「テスト勉強ができてない」「勉強についていけない」という相談を受けます。
ただ、机に向かう習慣のないお子さんに、テスト勉強をやり方を教えてもなかなか解決しないでしょう。
中学生はとっても忙しいです。
部活動もあり、限られた時間の中で多くの教科の学習をするのには、当然ですが時間がかかります。
私は小学校年代までに、以下の力をつけておく必要があると考えています。
①そもそも机に1時間程度座っていられる。
(もちろん学習していたい。)
②見通しをもって生活(学習)できる。
③計画的に生活(学習)できる。
これらが身に付かないまま中学校年代に突入すると、中学校の大変さに飲み込まれていきます。
逆にこれらを身に付けて中学校に行くと、中学校生活をある程度スムーズに進めることができますし、中学生になってグッと成長していくことにもつながります。
しかし残念なことに、これらのチカラは、すぐに身につくものではありません。
1年、2年、いやもっと長い目で見て、少しずつ身につけていかなければ身に付かないものです。
だから、小学校低学年時からスモールステップで子供たちに取り組ませていくことが重要です。
私は小学校教員をしている時には常日頃から、10年後の姿をイメージして今何をすべきか考えてくださいと親御さんにもお話ししてきました。
「それは難しい!」という親御さんには、「義務教育終了時(中学卒業時)の姿や進路先をイメージして」「小学校の卒業式の姿をイメージして」とお話しすることもあります。
例えば、小学校1年生の子供たちには、学校以外でも20〜30分机に座っていられるチカラを身につけてほしいです。
その手段が“宿題”なのです。
しかし、宿題(勉強)が嫌すぎる!と既になってしまっているお子様もいます。
そういう子は、勉強じゃなくてもいいんです!
その子の好きなこと、例えば「塗り絵」でもいいし、「パズル」でもいい、「読書」でもいいでしょう。
まずは、机に向かって集中していられる成功体験をし、それを価値づけてあげることから始めましょう。
机に向かうこと=辛いこと、嫌なこと としてしまいたくありません。
机に向かうこと=楽しいこと → 当たり前のこと(習慣) としていきたいものです。
「宿題をやりなさい!」と言って、机に嫌々向かうようになってしまうと元も子もありません。
今は、子供のやりたいことを大事にする教育・保育・育児が主流となっています。
ただ、自由を大事にするがあまり、「やりたいことしかやらない」子になってしまっては残念です。
だからこそ、大人(親・先生)は、「やりたくないことをやらせる」のではなく
自分で学びをしようとする子の土台をつくるために、どのようなアプローチをしたらいいのか
長い目で見てスモールステップで取り組ませることが重要なのです。
ですから、「宿題をやる」ということ自体に大きな価値はないのです。
…もちろん、学校での学習を定着させるために宿題は効果的ですが。